奈良市の西の京にある薬師寺の前身にあたる寺。天武天皇が皇后(後の持統天皇)の病気平癒を祈願し、天武9年(680年)に薬師如来を本尊して建立。完成しないうちに天武天皇が崩御したので、持統天皇がその遺志を継いで完成させた。平城遷都に伴い西の京へ移築されたと言われていたが、別々に造られたという説が有力で、この寺は本薬師寺と呼ばれるようになった。前庭にあたる跡地に金堂の礎石や東西両塔の土壇、塔の心礎などが残されている。背景には畝傍山が望め、その光景はいかにも天皇が発願した官寺跡にふさわしい。
近鉄「畝傍御陵前駅」から徒歩10分、またはJR桜井線「畝傍駅」から徒歩30分